【夫必読!】不妊治療が辛い理由(旦那さんも是非読んでみてください)

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こんにちはー✨さな吉です。

以前書いた「不妊治療について夫に知ってもらいたいこと(旦那さんも是非読んでみてください)」は大変大きな反響をいただきました。読んでくださったみなさん、ありがとうございました!

【切実】不妊治療について夫に知ってもらいたいこと(旦那さんも是非読んでみてください)

2018.05.29

今回も不妊治療について旦那さんに知ってもらいたいことを書いてみたいと思います。

テーマは「不妊治療でどんどん自信を失っていく仕組み」についてです。

つらさの核ととなる部分や、妻がなにと闘っているのかがわかると、旦那さんも対応しやすいと思いますし、妻自身も自分のとまどいを受け入れやすくなるのではないかと思います。

なので、もしよかったら今日の記事はご夫婦で読んでもらえたら嬉しいです。

なぜこのような記事を書くのか

不妊治療中は冷静でいられない状態が次から次へと訪れます。

うちの夫は不妊治療については理解していたほうだと思いますが、それでも
ああ、そうか、この辺は全然想像つかないんだろうな
と思うことはたくさんありました。

どちらかというと知ってもらいたいこととしては、妊娠のメカニズムのようなものではなくて、ゴールが見えない苦しさ、未来が描けない辛さといった精神的な部分です。

治療中、私自身はこのあたりをうまく言語化できず、もどかしい思いをしました。
伝えようとすると感情があふれてしまって、夫にぶつけてしまうこともしばしば。
妊娠できないことの傷つき感に圧倒されて、冷静になれない自分がいました。

治療を終えた今、あのときの辛さが手に取るようにわかります。
それを言葉にして残しておきたいと思っています。

この記事が治療中のご夫婦の役に立ったら嬉しいです。

まずは旦那さんへメッセージ

さてさて、旦那さん、

きっとこのページを読んでみて欲しいと言われて、警戒しましたよね。
私がもし逆だったら警戒しますもの。

だいたい夫が「早苗、これ見て!」とか「これ読んで」というのには必ず裏になにかあります。
この間も出張のキャリーバッグの上に乗せるカバンのページを見せられました(笑)

でも旦那さん、安心してください。
この記事を通じて旦那さんを責める意図は1ミリもありませんし、これでなんか買わせようとかは思ってませんから。

治療真っ最中の妻が辛さを伝えようとするとどうしても攻撃的になったり、感情的になってしまうので、不妊治療を終えた身の私が客観的に書いてみます。

少しの間お付き合いくださいね。

生きてきた中で1〜2を争う人生の危機

妊活や不妊治療を始めてから妻がちょっと変わってしまったと思っている旦那さんは多いのではないでしょうか。

妻の様子としては

  • しょっちゅうカリカリ・ピリピリしている
  • 急に怒り出す
  • 時折もの凄く落ち込んでいる
  • 急に泣き出す
  • かといえば突然いろんなことを始めて頑張り始める・・・などなど。

夫からしてみると余裕がなくなってきているように見えるので「よかれと思ってコメントしたところ、よけいキレられて困った」ということもあると思います。

いま、妻の身には今までにない危機が訪れています。
これまでの人生では味わったことのないような焦燥感や孤独感が襲ってきていて、本人も相当戸惑っています。

妻自身もこの事態をどうやって乗り越えればいいのかわかっていないんですよね。
こんなにもコントロールが効かないことは初めてなのです。

結果を気にしなきゃいい、考えないようにしなければいい、と思ってもそれが全く実行できない。

真っ暗なトンネルの中でどうしていいかわからず、一人で苦しんでいる。

隣に旦那さんがいても、なんだかひとりぼっちのような気持ちになるのです。

ごめんなさいね。いつも隣にいてくれるのに。

思い描いていた未来像とのギャップ

では、なぜこれほどまでに苦しいのでしょうか?

このブログでくり返し述べていることなんですが、なかなか妊娠できないつらさの背景には「女性はこうあるべき」という女性像(ステレオタイプ)とのギャップがあります。

代表的なステレオタイプ

・女性は子どもを産むもの
・子どもを産んで一人前の女性
・子育てをするのが女の幸せ

これらが幼少のころから刷り込まれていて、自分の中でかなりの面積をしめています。

それが、今ここに来て、まさかまさかの展開になっているわけです。
自分が「当たり前」と思いこんでいたレールに乗れない・・・。
このギャップに大いに苦しんでいます。

多くの女性が、この苦しみを「私がダメだからこうなった」と個人の問題としてとらえています。
しかし、個人の出来事は社会の大きな問題を映す鏡にもなっています。

ですから妻は一人では抱えきれない社会的な重みを自分の責任ととらえ、自己否定のループにはまりながらもがいているのです。

ちょっと話はそれますが、男性にも強烈なステレオタイプがあります。
男は働いてお金を稼がなければいけない、弱音を吐かずに頑張らなければいけない、泣き言を言ってはいけない、いつも男らしく・強くあらねばいけない、などなど。
ですから、男性も色々なものを背負って生きているので大変です。人生の危機に面したとき、女性に比べ感情を表出することを推奨されていないので、一人で抱え込んでしまいます。自殺者の7割を男性が占めることからもわかるように、男らしさの呪縛はときに男性の命をも奪ってしまうのです。

アイデンティティの崩壊

不妊治療の過酷さはまだまだ続きます。

当然得られるだろうと思っていた未来像から外れていくのに加え、体に対するダメ出しの連続が妻を襲います。

毎回の血液検査で、数字として自分のダメな部分が明確に打ち出され、
期待しないようにしていても、リセットになればまたダメだったかと落ち込み、
ステップアップすれば数値とランクで管理され、
これでもかこれでもかと自分の体の至らなさを見せつけられます。

あらゆる努力をしているのに結果が出ないのは、

やっぱり私の体がダメなんだ、
私の体がポンコツなんだ、

と自分の体に「欠陥品」のレッテルを貼りつけます。

治療では子宮や卵巣など、女性の生殖に関わる大事な部分を「私の体のダメな部分」として否定し続けることになるので、これでますます自信を失っていきます。

こうして、なんとか自分のダメな部分を補助できないかと、サプリを飲んだり、漢方飲んだり、鍼灸に通ったりして努力への道と突き進んでいきます。

人は自分の存在意義をどのようにはかっているか

今回、不妊治療をしていて気づいたのは、

人は自分の存在意義のかなりの部分を「生殖機能が正常かどうか」ということに支えられている

という点です。

例えば男性だったら、ある日突然「勃起」しなくなる、というのを想像するとわかりやすいかもしれません。

病院に行っても原因がわからず、あらゆる努力をしても勃起しない。
サプリを飲んだり、漢方を飲んだり、運動したりと、思いつくことはなんでもやっているのに一向に勃起する気配もない。
自分の息子がぴくりともしないのです。

病院にいけば毎回性器をさらけだし、触診される。
行く度に採血してホルモン値を調べるものの、男性としての規定の数値を満たさない。

そうしたら、一体オレの体はどうなっちゃったんだ! と必死になって努力すると思うんです。

勃起しなくたってどうってことない、人は人、オレはオレと思うのは至難の業だと思います。

女性も同じです。

妊娠できなくたってどうってことはない、人は人、私は私、とはなかなか思えない。

本当はそう思えるようになりたいんですけどね。これがなかなか難しい。

もし妻が泣いていたら

妊活と治療が長引けば長引くほど、妻の心は脆くなっていきます。

こうなると妊婦さんや赤ちゃんを見ただけでも涙するような状況に追い込まれていきます。

特に治療がうまくいかなかったときは、ことのほかこたえます。

また今月も生理がきてしまった、
採卵したら空砲だった、
移植したのに着床しなかった、

こんなときにお母さんと赤ちゃんの仲睦まじい姿を見かけると、ジワッと涙が出てきてしまいます。

この涙には自分に対する深い失望感、ゴールが見えない焦燥感が含まれています。
決して夫と二人でいる今の生活が不幸だと思って泣いているわけではないのです。

だから旦那さんが良かれと思って言ってくれる二人でもしあわせじゃないかというなぐさめのセリフは、実はあんまりピンときていません(すいません!)

旦那さんは、たぶん妻の涙に責任を感じてくれているんですよね。
その優しさ、本当にありがたいです。

私もせっかく夫が言ってくれた言葉に対して「違う!」とか「子どもが欲しくないわけ?」などとキレ気味に返していました。
今思うと申し訳なかったと思います🙏

ひたすら頑張っているときに「二人でもしあわせじゃないか」と言われると「子どもはいらない」と言っているように聞こえてしまうんですよね。

ああ、なんというこじらせぶり(笑)

人のしあわせを喜べない

そして、ときどき大ピンチが襲ってきます。

友だちや同僚の妊娠です。

本来ならば喜ばしいこのニュースも、素直に喜べない・・・。

うわっ、私ってこんな嫌なヤツだったの?

と自分がとことん嫌になります。

と同時に、他人と自分を比較して、このまま妊娠しないのではないかという恐怖で頭がおかしくなりそうになります。

このように不妊治療中の女性は

刷り込まれた価値観とのギャップに苦しむ

治療を通じて自分の体をポンコツと思う

思いがけず抱いた黒い感情に人としての未熟さ、醜さにとことん失望する

これを日々繰り返しています。

あとはここに、副作用による体調不良、仕事との両立、夫や親に対する申し訳なさが加わって、自分でも何がなにやら分からない状態になっています。

妻に声をかけるとしたら

いやいや、すいません。
重い話になっちゃって。

でも、こういうことを夫が知ってくれているだけで、ぜんぜん違うんですよね。

もし妻が不妊治療で深い闇に落ち込んでいたら「もしやこれがあのブログに書いてあったことか?」と妻の背景に想いを馳せて、いつもより少し優しい言葉をかけてもらえたら嬉しいです。

例えば

あんなに頑張ってたもんね。落ち込むのも当然だよ、とか

いつも二人のために頑張ってくれてありがとう、など

こんな一言だけでも心が救われます。

妻側も感情的になって全部夫にぶつけるのではなくて

アドバイスなしで15分話を聞いてくれる?とオファーしてみたり、

ごめん、10分泣かせて、と頼んでみてもいいかもしれません。

どんなに自分がつらくても、一方通行にならないように相手を尊重する気持ちも大事です。
決して旦那さんをサンドバックのようにしませんように・・・😅

最後に

以上で終わりです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。

今日は妻の心理を中心に書きましたが、旦那さんも人知れず悩んでいることもあるかもしれませんね。仕事でプレッシャーがきつかったり、職場の人間関係で悩んでいたり。

それでも毎日仕事に行って、治療する妻を支えてくれてありがとうございます。

ときには旦那さんも「男は弱音を吐いてはいけない」というステレオタイプにしばられないで、「実はいまちょっとしんどいんだ」と自分の気持ちを話してみてくださいね。

・・・・・

治療がどういう形で終結するかは誰にもわかりません。

このつらい時期にお互いが思いやりを持って相手を大事にできれば、この先の人生、ちょっとやそっとこのとじゃ倒れません。

最強の夫婦目指してお互い助け合ってくださいね✨

2021年7月19日 追記 ついに本が出版されます!

なんと、なんと、本の書籍化が決まりました!

この記事の内容はもちろんのこと、リアルな妊活中のご夫婦の声が載った今までにない不妊治療の本です。

私の専門分野であるアサーティブ・コミュニケーション(自分も相手も大切にした自己主張)を妊活で活用するための指南書です。

ご夫婦で読める「めっちゃ使える本」になっていますので、ぜひ一家に一冊!

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【切実】不妊治療について夫に知ってもらいたいこと(旦那さんも是非読んでみてください)

2018.05.29

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4 件のコメント

  • 今まさに妻にサンドバッグにされている者です。

    妻の気持ちがどうしても理解できなかったので、記事を読んでものすごく勉強になりました!
    こちらはこちらでいろいろと頑張っているのに一方的に感情をぶつけられて、なんて理不尽なんだと思っていましたが、私自身の気持ちも少し軽くなりました。

    もう少し優しくなれそうです。
    がんばってみます!

    • タケシさん、コメントありがとうございます!!!なんと、9月にいただいていたのですね…。すいません、ブログをチェックしていなくて、全然コメントに気づきませんでした。
      サンドバッグ、つらいですね(涙)。私も妻の立場ですから、女性のつらい気持ちは痛いほどわかります。なんとかそのつらい気持ちを他者への攻撃に使うのではなくて、正直な気持ちを「自分がどんな状況かを伝えるための情報」として、夫に開示できるといいなと思っています。それだけ冷静になれないほど、つらい状況が妻の身に起きていることは間違いないのですが、ぶつけられるだけでは言われる方も何をどうしたらいいか困惑しますよね。記事が参考になったのなら良かったです。タケシさんに絶大なエールを送ります!(^o^)

  • 夫です。とても完結にまとめて頂き、本当にありがとうございます。心が少し救われました。
    まさに昨日、産婦人科で卵が育ってない、と言われ、落ち込んだ妻と共に泣いてしまいました。
    妻自身は子供がいないといけないとは思い込んでいないものの、子供ができない事で自分の体の不完全さを責め、一方で友人の子供を心から喜べない醜い自分を責め、両親や私の家族を喜ばせられない自分を責めていました。決して誰も妻を苦しめてるつもりはないし、我々が幸せであればそれでいいはずなのに。そんな重荷を少しでも軽くしたいと思うものの、それができず夫的にも無力さを感じています。
    夫がフォローする際のアドバイス、参考にさせて頂きます。

    • yamadaさん、コメントありがとうございます!最近ブログをチェックできていなくて、コメントに気づくの遅くなりました。ごめんなさい…。
      そうですか、卵が育ってないと言われたんですね。それはショックだったと思います。私たちは意外とアイデンティティのベースを「生殖機能が正常かどうか」に頼っているという部分があると思います。生理がある、排卵してる、など、当たり前だと思っていたことがそうじゃなかったとわかったときのショックたるやものすごいものがあるんですよね…。そこで一緒に泣いてくれる夫がいることは、ありがたいことだし、幸せなことでもあります。悲しみのまっただ中にいるときは気づかないけど、かたわらで泣いてくれる人がいるというのは大きなことなんです。
      yamadaさんご自身も打ちのめされる妻も見ているのは心が痛いと思います。無力を感じるのも当然です。妻の気持ちを軽くしたいと思っても、気持ちはその人の持ち物だから、周りはなかなか変えることはできないんですよね。それでも、妻を大事に思っていることや、愛おしく思う気持ちを伝えることはできますので、要所要所で言葉にして伝えていってくださいね。妻としては真っ暗な大海原の中で打ちのめされていたとしても、いつでも戻れる暖かい港があるのとないのでは大違いなんです。yamadaさんの素直な気持ちを奥さんに伝えつつ、お二人で手を取り合って歩んでいってくださいね。心からエールを送ります!

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