こんにちはー✨ さな吉です。
前回の「不妊治療について夫に知ってもらいたいこと(旦那さんも是非読んでみてください)」の記事は本当にたくさんの方に読んでいただいて感謝です。
ありがとうございました。
ところで「おっさんずラブ」観ましたか?
(タグから飛んできた沼民の皆様には愚問ですね😅)
今回は「おっさんずラブ」のすごさを、不妊治療経験者の視点から書いてみたいと思います。よろしかったら最後までお付き合いください✨
Contents
おっさんずラブとは

おっさんずラブとは、男性同士の恋を描いたお話です。
(観たことがない方はぜひ公式サイトを訪れてみてください)
私は何の気なしに見始めたら、見事にハマりました。
放映中は毎週土曜が待ち遠しくて待ち遠しくて・・・。
放映を観たあと、TVerでも観て、
そして視聴後はツイッターでタグを読み漁るという始末。
結局、寝るのは夜中の2時過ぎ。
こんな経験初めてです。しっかり沼にはまりました。
公式本も出るというし、10月にはDVDも発売になるというので、私の中ではまだまだおっさんずラブ祭りは終わりそうにありません。なんてったって、7話が終わってからも毎日タグを漁ってますから(笑)
これでテレビ朝日が上手に展開して、映画化したり、シーズン2作ったりしたら、経済が動いてテレ朝の株価が上がるのではないかと真面目に思っています。
だって、初めて見ましたよ。ツイッター上でたくさんの人が公式に向かって「お金を払わせてください」って懇願してるところ(笑)
みんな「おっさんずラブ」のためならいくらでも払う用意があるんですよね。
ホント、すごいなーと思いました。それだけたくさんの人をしあわせにしたってことですよね。
と、まあ、余談はここまでにして、このドラマ、いろんなところが本当によくできていて、牧くんの存在を通して、全編を串刺しにして貫いているメッセージが本当に素敵なんです。
その中でも特に注目したいのは、牧くんの葛藤の描き方です。それでは本題に入っていきます! (まだ観たことのない方はネタバレも含まれます。ごめんなさい💦)
春田母の全く悪気のない言葉
ファンの皆さんなら、この見出し見ただけでどのシーンかピンときますよね。
そうです、第6話「息子さんを僕にください!」で主人公・春田の母と牧くんが遭遇するシーンです。
春田と牧くんは第5話でつき合い始めて、6話では念願のキスシーンもあり、きゅんきゅんしまくっていたところ、6話も後半になるにつれだんだん雲行きが怪しくなってきてお母さんが登場したところで不安が的中しました。
そのシーンはこちらです。
お母さんはまさか自分の息子と目の前にいる牧くんが付き合っているなんて思わないから、自然とこんなことを言っちゃうんです。




ああああああああああーーーーーー💦
お母さん、それ、牧くんに言っちゃダメーーーー😭
変えられないものを突きつけられたとき
孫の顔が見たい
お母さんの気持ちはわかる。
しあわせを望む権利は誰にだってある。
でもその言葉で徹底的に打ちのめされちゃう人もいるんですよね。
人はどうやっても変えられないものを目の前に突きつけられたとき、心はズタズタに引き裂かれていても、表面は「へへ」と笑うしかない。
牧くんの寂しげな笑顔を見てください。
こんなに悲しくて美しい笑顔、ないですよね😭

(林遣都くんの凄いところは目の表情で芝居をするところだと思う)
あのときの牧くんの気持ちは?
牧くん、本当につらかったと思う。
顔では笑っていたけど、絶望にうちひしがれていたと思う。
自分といたら春田さんはお父さんになれない
自分といたら春田さんのお母さんに孫を抱かせることはできない
そして自分のことは脇において、ただただ春田のことだけを思って身を引く結論を出したんだよね。
このとき私は
牧くん! 牧くんもしあわせになっていいんだよ!!!!
と心の中で叫びながら泣いてました。
牧くんの心中が痛いほどわかる
春田母の
親はいつまで元気かわからない
はやく孫の顔がみたい
というセリフ、不妊治療中の女性は「アレッ?どこかで聞いたことある!」と思ったはずです。
まさに同じセリフを親から言われたことがあるという方、大勢いるのではないでしょうか。
これは治療中の女性に限ったことではありません。
シングルの方もセクシャルマイノリティの方も同じですよね。
親の気持ちはわかる。
わかるけど、それに応えてあげることができない自分に忸怩たる思いを抱いている。
自分に子どもがいないこと、自分にパートナーがいないこと、自分がセクシャルマイノリティであること、これらのどうしようもできないことを「親の不幸の原因」としてつきつけられたとき、私たちは何度も何度も牧くんのように悲しい笑顔を浮かべてきたのです。
うちの場合、母は思っていてもそういうことは言わないタイプでした。そうこうしているうちに病気になって亡くなってしまいました。治療をあきらめた今でも、やっぱり後悔は残っています。
このシーンに隠された社会的な側面
実はこのシーン、脳天気な春田母が「わしらの牧くんを悲しませた」したという単純なシーンではなくて、何重にも社会的問題をはらんだ奥深いシーンだと思うんです。
「男は、こうあるべき」「女は、こうあるべき」というステレオタイプを土台とした考え方は、時として他人を傷つけるけし、自分自身をも傷つけていく。
ステレオタイプとは
ステレオタイプ(英: Stereotype、仏: Stéréotype)とは、判で押したように多くの人に浸透している先入観、思い込み、認識、固定観念やレッテル、偏見、差別などの類型・紋切型の観念である。(ウィキペディア)
男と女はくっついて、結婚して、妊娠して、子どもを産む。それが幸せ・・・
時代がだいぶ変わってきたとはいえ、この「普通」とされるレールに乗った方がいい、乗るもんだ、という圧迫感は今でも十分に存在します。
今回の春田母のセリフに表れているように外側から突然降りかかってくる場合もあれば、自分の中で、このステレオタイプにがんじがらめにされて自らドツボにはまるケースもある。
胸の奥底に染みついた「こうあるべき」に縛られてそのレールに乗れない自分を否定していくわけです。
ましてや牧くんは男性。
この「普通」にどうやっても追いつけない絶望感たるや、私たち女性には計り知れないものがあったと思う。
だからこそ牧くんは、自分という存在を春田の前から消すことで、「自分が幸せになる権利」というのを放棄した。
「社会の抑圧」という圧倒的な力の前に、ひれ伏すしかなかった。
このシーンをきっかけに始まる別離のシーンはただただ悲しいだけではなくて、社会の問題がてんこ盛りに盛られたシーンでもあり、社会が抱える問題の縮図でもあったのです。
ここでは男性同士の恋愛という点でステレオタイプとのギャップが描かれていますが、不妊治療が抱える問題も同じようなところがあるんじゃないかなーと私は思っています。(タグ経由で来た沼民の皆様、すいませんね。ここ、一応不妊治療ブログなので)
女は子どもを産んで当たり前というステレオタイプとのギャップから、自分を欠陥品のように思って「私の体はポンコツだ」と自分の体を罵っている治療中の女性、本当に多いです。自分を責める負のサイクルにはまってしまって、なかなか抜け出せない。
牧くんが「自分がしあわせになる権利」を放棄したのと同じように、治療女性は「子どもができない自分を愛する権利、ありのままの自分を愛する権利」というのをジワジワと手放していく。
そんなことを重ね合わせながらこのシーンを観ていました。
牧くんが日本中の「ちょっと“レール”から外れた人々」を代表して、全身全霊でつらさを体現してくれた。
そこに私は激しく胸を打たれました。
このドラマのすごいところ
このドラマの救いは、ステレオタイプから私たちが解放されるためのメッセージがたくさんあること。
期せずして全7話を通じて、ステレオタイプをもとに発言したのは春田本人と、春田母のみ。
第5話では春田が男同士が付き合っていることを周りに知られたらどうしようと怖れるあまり「もっと離れとけって!誰が見てるかわからねぇぞ」と牧くんを傷つけています😅
やっぱり親子(笑)
それ以外の登場人物は、一切、そういうこと言わないんです。誰一人として。
みんなが「ちょっと普通とは違うよね」ということを受け入れて、味方でいてくれる。
そこが本当にすごいと思う。
「おっさんずラブ」は深い
だから私は思う。
「おっさんずラブ」は深い。深すぎる。
マイマイ(春田の同僚)のセリフで
好きになっちゃいけない人なんていないんじゃないかしら
と言う名台詞があります。
私はドラマ全体に流れるメッセージとして
しあわせになっちゃいけない人なんていないんじゃないかしら
というのがあると思う。
これが全7話を通じて串刺しになっているメッセージ。
そう、しあわせになっちゃいけない人なんていない。
牧くんを応援したように自分を応援しよう
牧くんのしあわせを祈ったように自分のしあわせを祈ろう
こうしたメッセージを感じ、私たちはいつも温かい気持ちになれたんだと思う。
伏線の回収?
さて、牧くんが一度手放した「自分がしあわせになる権利」、
7話でしっかりと自分の手の中に取り戻してくれましたよね。
これは本当に嬉しかった!
そのちょっと前の春田渾身の告白のシーンでは、まだ牧くんはステレオタイプをしあわせの基準として、一度春田を突っぱねています。
俺といたら、春田さんはしあわせになれませんよ!
このセリフに対し春田は
だからさぁ!お前はいっつもさぁ、そうやって勝手に決めんなよ!
俺は、おまえとずっと一緒にいたい
だからぁ! 俺と結婚してくださぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい
と叫ぶわけです。
ここが春田のいいところ。人を人としてきちんととらえ、いざというときには心の声をまっすぐ相手に伝えることができる。このセリフで、牧くんの中のステレオタイプの壁をぶち壊したのです。
そして、7話の最後のシーン、牧くんの
俺、もう我慢しないって決めたんで
というセリフは、単に自分からアクションを起こすことを我慢しないと言っているのではなくて、「自分がしあわせになることを我慢しない」という決意の表れなのではと思います。
だから私にとってこのセリフは、6話で描かれた「ステレオタイプへの降伏」と「自分がしあわせになる権利の放棄」という伏線を回収してくれている大事なセリフなんです。あくまでも私の意見ですが😅
だって、本当にそうであってほしいもの。牧くんには一歩退く生き方じゃなくて、自分もしあわせになる道を歩んでほしいもの。
最後に
今は多様性の時代になってきて、社会もどんどん変化してきています。
牧くんと春田が望みさえすれば、子どもを迎え入れることも可能な世の中になってきました。
「同性カップル 養育里親、東京都も認める方針 基準改定」(5/18 毎日新聞)
これからはもっともっといろいろなカタチのしあわせが世の中に増えていくといいなー。
わしらも牧くんと春田のしあわせを祈りながら、自分がしあわせになることをあきらめないで、前に進んでいこー。
最終話はTVerで6月16日(土) 22:00まで配信しています。
Amazonで全話レンタルできます。まだ観てない方は是非!
とりあえず、DVD BOX、予約だぁ!(笑)
公式本も買うぞ~!
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