私って不妊様なの? 自分でも思わずおののく黒い感情との付き合い方

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こんにちはー! さな吉です。

今日は不妊様について考察し「こんな視点をもっていると気持ちがラクになるのでは」という私なりのポイントを書いてみたいと思います。

ネット上の不妊様の定義を見ると、妊活期間が長ければ長いほど当てはまることが多くて、必要以上に自分を否定する要因にもなっているような気がします。

ただでさえ治療中は落ち込むことも多いので、そうした状況はなるべく避けたいところですよね。

よかったら最後までお付き合いください✨

巷でいうところの不妊様とは

不妊様について様々なサイトを見ると、共通してあげられている特徴があります。

一般的な不妊様の定義
  • なかなか子供を授かれないことで卑屈になる
  • 他人の妊娠・出産を祝えない
  • 子連れや妊婦をみると動揺し落ち込む
  • 周りの育児話に不機嫌な態度を取る
  • 妊婦に対して悪口やイヤミを言う
  • 治療で仕事を休んだりすることを当たり前だと開き直り、まわりに仕事を押しつける
  • 周りに気を遣わせる

わー、当てはまる!という人たくさんいると思います。(とくに前半ね)
私なんか、一時期、赤ちゃん見るだけで泣いてましたもん😅

不妊様という言葉はすっかり市民権を得たけれど、ネガティブな感情を抱くだけでそう言われてしまうのはやっぱり抵抗があります😭
(なんてったって好きで不妊になったわけじゃないし・・・)

治療が長引けば長引くほど、赤ちゃん見て落ち込むのは当たり前のことだし、同僚の育児話を「聞きたくないな」と思うのは自然なことでもあると思うのです。

問題は、そうした感情を抱いたあとに「どう行動するか」の部分で、おそらくその辺が「不妊様」と「ただの不妊治療してる人」の分かれ目なんじゃないかと思います。

不妊治療中の女性にとっても想定外の出来事

ここで少し不妊治療中の女性が置かれている状況について考えてみたいと思います。

治療女性はある種、いま人生の危機を迎えているとも言えます。
当事者じゃない人からすれば「何を大げさな」と思うかもしれませんが、不妊治療の苦しさっていままで味わったことのない種類のものなんですよね。

「子どもがなかなかできないことがこんなにつらいものだとは思わなかった」と打ちのめされている人も多いと思います。
不妊沼とも言える泥沼にずっぽりはまっている・・・。

で、当人もある程度『沼』にハマってる自覚はある。

私、今、けっこうやばいかも・・・

街中で赤ちゃんみただけでウルッとくるなんて想定外なわけですよ。
友だちの妊娠が喜べないなんて、私ってこんなに黒い人間だったの?と自分を疑うわけです。

努力が一向に報われない、ゴールが全く見えない世界に身を置いていれば、そりゃちょっとおかしくなるってもんです。

個人の人格的な問題なのか?

そうすると、私の性格が悪いから?という思いが頭をよぎります。
たしかに中には性格に問題がある人もいるかもしれません。
でもそれはごく少数だと思います。

なかなか子どもが授かれないというのは、非常にパーソナルな問題でもあると同時に、

自分の中に取り込んだステレオタイプのレール(社会的通念とも言える女性とはこうあるべきという姿)に乗ることができず、そのギャップに苦しむという社会的な側面も持っています。

(↓こちらの記事にも詳しく書きました)

不妊治療はなぜこんなに苦しいのか? 自己否定の輪から抜けだすには

2018.03.03

女性には、ライフステージに応じて様々な社会的抑圧が隠れていて、たとえば子どもができても、家事・育児をワンオペで女性が一人で背負っていたり、親が介護状態になれば女性が一番の担い手になったり。

「女はこういうもんだ」という社会から求められている姿は意外と私たちの骨身にまでしみこんでいます。

それを家庭という小さな単位で一人で担うという、とてつもない孤独さ、大変さがあると思うのです。

また夫である男性にも「男はこういうもんだ」というのが染みついているので、思いのほか助けにならない。

不妊治療中は本来であれば夫にも当事者意識をもって取り組んで欲しいところですが、まだまだ治療は女性のものと思われていて、男性起因の不妊が48%あることも知られていません。

不妊沼にハマっていくうちに、
あれれ? 理解者もいない、協力者もいない、私って孤立無援なの?
となる。

そこで友だちが妊娠したというニュースが飛び込んできようものなら、黒い感情がわき起こるのもそんなにおかしなことではないと思うんですよね。


↑埼玉県が作成した不妊に関する正しい知識をまとめた冊子「願うときに『こうのとり』は来ますか?」より抜粋。とてもよくできた冊子なので、旦那さんにも一度読んでもらうといいかもしれません。

黒い感情を持つことは悪いことなのか?

では、黒い感情を持つことは悪いことなのでしょうか。

私は決して悪いことだとは思いません。

感情はいろいろなことを教えてくれます。

自分が何を大事にしてるのか、自分がどうしたいのかを教えてくれる大事な情報源です。
どーでもいいことだったらこんなにも心を動かされないですもの。

だから黒い感情への一つの対応策としては、

そうしたネガティブな感情を忌み嫌うのではなく、

また、即座になんらかの行動に移すのではなく、

ひとまず、その感情を受け止めること。

それが私たちにできることではないかと思います。

枕詞に「こんなに黒い感情を持ってしまうなんて、私は」をつけて、その後ろに自分の誠実な気持ちを言葉にしてみる。

いわば、黒さの裏に隠れた正直な気持ちを心の中で言語化するのです。

たとえば

こんなに黒い感情を持ってしまうなんて、私は、それほど今つらいんだな、とか

こんなに黒い感情を持ってしまうなんて、私は、ものすごく悲しいんだな、とか

こんなに黒い感情を持ってしまうなんて、私は、すごく焦ってるんだな、といった感じです。

自分の大事な一部として、一度きちんと心の中で認めてあげる。

けなすのではなく、自己卑下するのではなく、ただただ認める。

あたかも、自分を大事な親友としてとらえ、親友の言っていることに耳を傾けているようなつもりで。

だって、黒い感情を持ったときはもの凄く孤独ですもの。

少なくとも自分は自分の良き相棒でいてあげたい。

自分の体をいつくしむ②思考のクセ編:不妊治療がうまくいかないとき、不用意に傷つかないために

2018.03.07
↑よかったらこちらも参考にしてください。
もし黒い感情の背後に偏った物事のとらえ方のクセ(考え方のクセ)があるとしたら、そこも意識していってもいいかもしれません。

不妊様の分かれ目

その上で、重要になってくるのが、この次の「どう行動するか」の部分だと思います。

行動にはやっぱり責任がともないます。

この部分こそが「不妊様」と「ただの不妊治療してる人」の分かれ目になると私は考えます。

冒頭の、

  • 周りの育児話に不機嫌な態度を取る
  • 妊婦に対して悪口やイヤミを言う
  • 治療で仕事を休んだりすることを当たり前だと開き直り、まわりに仕事を押しつける

といったあたりはやっぱりよろしくない。
いくらつらくても、そのつらさを他者への攻撃性に転じないようにする努力は必要です。

行動の選択肢を持つ

ネガティブ感情を持つこと自体は全く悪いことではないので、その先の行動の部分に選択肢をたくさん持っておくのが不妊様にならずにつらい状況を乗り切るコツだと思います✨

職場の場合

例えば職場で産休明けの同僚を中心に育児話で盛り上がっていたら

  • トイレに行く
  • お客さんに電話をかける
  • ちょっと買い物に出かける
  • 夫や友人にLINEする

というのもいいかもしれません。
私はよく「電話タイムだ!」と思ってお客さんに電話かけまくってました。
仕事がはかどること、はかどること(笑)

SOSを出せる相手

あとはSOSを出せる相手を3人くらい持っておく。

例えば

  • 不妊治療のことを話せる友人
  • 母親(身内の誰か)

この中の一人だけに偏らないようにするのも大事だと思います。相手も負担になってしまうので、うまく分散させましょう。

友人に関しては2〜3人いるといいかもしれません。夫系の話に付き合ってくれる人、治療系の話に付き合ってくれる人、仕事系の話に付き合ってくれる人、といった感じです。

あと気遣いも大事ですよね。メールするときは「ごめん!ちょっと愚痴らせて」と前置きしたり、一方的にならないように「私の話ばかりでごめんね。○○ちゃんは最近どう?」相手の近況も積極的に聞くようにするといいと思います。

思いを吐き出せる場所

黒い部分を吐き出せる場所を2つくらい持っておくのもおすすめ。

  • ツイッター
  • オフ会
  • カウンセリング

ツイッターやってない人はぜひ!
情報収集もできるし、他の人の心の声に励まされて間違いなく元気出ます!

あと、オフ会、おすすめですよ〜。同じ境遇の人と話すのってめっちゃ楽しいです。
それにたくさん笑えます!
美味しいお茶でも飲みながら、日頃の思いの丈を遠慮なく話す!
これがかなりのストレス発散になって、また明日から頑張ろうという気になります。

他には、お世話になっているクリニックでカウンセリングのサービスがあれば利用するのも手です。

公共の場所で

たとえば電車で赤ちゃん連れのお母さんに遭遇した場合なんかは、あまり我慢せずにさっと車両を変えるというのもいいと思います。逃げてばっかりもいられませんが、必要以上に傷つく場所に身を起き続ける必要もないですし。

職場とか地元とか、避けられない場所もたくさんあるわけだから、ときにはさささ〜っと逃げるのもいいと思います。

夫に家事や手助けを頼む

治療中は特に夫に対してもストレスが溜まりやすいです。

体調悪いのに家事を手伝ってくれないとか、ねぎらってくれないとか、夫が協力的でないと無性に寂しくなります。

「え?あなた私の味方じゃないの?」と思わずツッコミを入れたくなるほどです。

この場合、夫が自主的に変わっていくことはほとんどないので、

大変ですが女性陣が根気よく、気持ちを言葉にし、リクエストを伝えていくしかありません。

なので、夫に上手に家事を頼んだり、素直な気持ちを伝えるためのスキルを持っておくのもおすすめです。

いわばコミュニケーションスキルですね。(5/5の講座ではこの辺を練習しました✨)

 

まわりの気遣いには感謝

きっと、まわりもきっとずいぶんと気を遣ってくれているんだと思います。

その点では、私もずいぶん気を遣ってもらいました。

仲間内でも、子どもが生まれて嬉しいはずなのに「さなえちゃんがいるから今はやめておこう」と気遣ってくれる人がいました。

本当にありがたかったです。
と同時に申し訳なく思う気持ちもありました。

しあわせであることを話せなくしてしまう私の存在ってなんなんだろう、とよく考えました。

でも、もし逆でも、私もそうすると思います。
これは不妊に限ったことではなくて、相手のバックグラウンドを考えて話題を選ぶって大事ですよね。

だからあまり「私が不妊様だから気を遣わせた」と思うのではなくて、心の中で「ありがとう」とその優しさを受け取って、もらったものをもし返せるのならその人に、難しいのであれば他の人へお返ししていけばいいのではないかと思います。

最後に

これからは自分に「不妊様」というレッテルを貼る前に、ネガティブな感情を持つこと自体はOKで、その次にどう行動するかの部分が大事だったよな、と思い出してもらえたら嬉しいです

治療中の女性には自分を否定しないでほしいなと思っているので💦

黒い感情を持ったとしても、それを受け止めて、どう行動するか選択する。

人生の難しい局面でこのプロセスを実行できたら、ホント、鬼に金棒です👍

なんてったって気持ちをとらえて、自己選択自己決定するわけですから。

こうして、私たち不妊治療を経験した女性は、胸を切り裂かれるような痛みを感じ、それを受け止めて行動を選択していくことで成長していくのだと思います。

そして、それが他人への優しさへ転じていく。

一番の目標は子どもを授かることだと思いますが、いまのつらい過程があなたの人間味を増していることは間違いありません。

打ちひしがれても、胸張って、顔上げて、ぼちぼちやっていきましょう

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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