不妊治療で心底つらいときに役立つ心理学|どんな人生にも意味がある

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こんにちはー、さな吉です✨

突然ですが、本音を言いますとね、40代に入ってから不妊治療を始めて、本当はスススッと妊娠して子育てするつもりだったんです。

こんなに妊娠できないことで苦しむなんて、私の人生においては想定外の出来事でした。

不妊治療は自分の存在意義を根底から問われるような辛さがあります。

ドツボにはまると自己否定の無間地獄に陥ってなかなか抜け出せません。

今日はそんな心底辛いときに役立つ心理学の考え方を紹介します。

私自身もこの考え方でずいぶん救われました。

よかったら最後までお付き合いくださいね。

「それでも人生にイエスと言う」

不妊治療で何度も何度もうまくいかない経験を重ねると、心の中になんとも言えない絶望感が蔓延していきます。

私はこの絶望感をどうすればいいのか、本当に扱いかねていました。

この出来事を自分の中でどう位置づければいいのわからなかったのです。

そのとき出会ったのが心理学者フランクルの

「それでも人生にイエスと言う」

という言葉です。

真っ暗なトンネルの中でうずくまっていた私に、一筋の光が差しました。

心理学者 V・E・フランクルとは

フランクル(1905-1997)は、オーストリアの精神科医です。

ナチスの強制収容所での経験を記した『夜と霧』の著者でもあります。

フランクルは収容所に入る前に「どんな時も人生には意味がある」という彼独自の理論をすでに構築していました。

その理論はロゴセラピー といって、人生の意味をみつけるための心理学です。

約3年の収容所生活を経験し、財産も、仕事も、愛する家族も根こそぎ奪われたにもかかわらず、それでもなお、彼は「どんな時も人生には意味がある」と言うのです。

どんな人生にも意味があり、希望がある

『夜と霧』からもフランクルの心理学を読み解くことはできますが、もっとわかりやすく解説した本があります。

『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』です。

表紙の見返しにはこのように書いてあります。(以下引用の太字はさな吉による)

ナチスによるホロコーストを経験した心理学者フランクル。彼は強制収容所という過酷な状況に置かれ、絶望にあえぐ人間の様子を克明に記録しながら、それでも人生には意味があり、希望があることを訴え続けた。「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生の方があなたに絶望する事はない」。時として容赦なく突き付けられる運命との向き合い方を探る。

自分の状況に絶望していた私は、ここに書いてある「“運命”との向き合い方」を知りたいと思いました。

人間は人生から問いかけられている

フランクルの思想の根幹には

「人間は人生から問いかけられている」

というものがあります。

私たちは通常、人生というのは「なりたい自分になるために探求していくもの」ととらえていますが、フランクルは違います。

「私たちが探求する前にすでに人生の方から問いかけられている」というのです。

一体どういうことなんでしょうか。


フランクルの写真。『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』より

人生からの問いに全力で応えていく

『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』の中で著者の諸富祥彦(もろとみよしひこ)さんがわかりやすく書いてくださっている部分があるので少し長いですが引用します。

私たちの心の中には、どうなりたいとか、どんなことをしたいとか、何が欲しいと言った欲求や願望があります。

それを実現して幸福になれる人もいますが、やはり、人生そう甘くはないわけで、たいていは思い通りにならずにつらい思いをします(中略)

すると、心の中が不満でいっぱいになって、こんな人生に何の意味があるのか、ただ苦しいだけじゃないか、などと思うようになります。(中略)

しかし、こうした人生の嘆きに対して、フランクルは全く異なる視点から人生を捉え直すことを提案します。

なぜなら、フランクルによると、人生の意味についての嘆きは、その問いの立て方そのものが誤っているからです。

というのも、「人生の意味」は、そもそもこちらから問うことのできるものではないからです。

「人生の意味」は、私たちがそれを問い求めるのに先立って、常に、そしてすでに人生の方から送り届られている

私たち人間がなすべきことは、生きる意味があるのかと「人生を問う」ことではなくて、人生の様々な状況に直面しながら、その都度、「人生から問われていること」に全力で応えていくこと、ただそれだけだと言うのです。(P55)

人生の意味はそもそもこちらから問うことができない。

だからこそ、“それでも”(どんな人生だろうとも)イエスと言って、人生から問われていることに全力で応えていかなければならない、というのです。

この考え方に衝撃を受けました。

私は人生から何をすることを求められているのか・・・

私は問われていることに全力で応えているだろうか・・・

自分の絶望に意味が与えられ、自分という小さな枠の中で悶々としていた状態から、外へと視野が広がった瞬間でした。

苦悩は人間の「能力」の一つである

別のページには「苦悩」についてこのように書いてありました。

フランクルは、容易なポジティブシンキングによって前向きに生きるよりも、悩むべき人生の本質的問題に直面したときには、それをごまかさず、目をそらさず、真正面から、とことん苦悩してよいし、そうすべきだ、苦悩には意味があるし、苦悩の極みにおいてこそ人間精神は真に高められていく、と考えたのです。(中略)

「自分はなぜこんなに悩んでばかりいるのだろう」「こんな人生もういやだ」と感じている方がいたら(中略)、もしかしたらその否定的な気分や感情は、さらなる成長に向けてあなたが大きな一歩を踏み出し始めているからこそ生じているかもしれないのです。(P106-108)

みんな、苦悩の極みにおいてこそ人間精神は真に高められていくんですって

苦悩の極み、まさに経験していますよね。

いま味わっていることは決して無駄にはならないということです。

ネガティブな感情は成長の第一歩

「容易なポジティブシンキングによって前向きに生きるよりも」とありますが、これは私の専門分野でもあるアサーティブの観点からも非常に納得のできる考え方でした。

アサーティブとは自分も相手も大切にした自己主張のことです。

自分の感情や要望を心の中できちんと把握し、それを相手の権利を侵害することなく誠実に率直に対等に表現するためのコミュニケーション方法です。

私は日々アサーティブを意識して、どんなにネガティブな感情でも否定することなく自分の中で認め、一緒にたたずむことを心がけてきました。

そのおかげで必要以上に自己肯定感を下げずに済みました。

しかし、不妊治療に関して、この苦しみがいつ終わるのかがわからないという点においてはとにかく辛かった。

そこにフランクルは「苦悩には意味がある」「絶望の果てに光がある」と言ってくれたのです。

この考え方を知って、ちょっと変な言い方ですが、安心して苦悩することができるようになった気がします。

私が人生から期待されていること

フランクルの言葉に触れたこともあって、治療のラストイヤーには

自分の経験を誰かの役に立てることはできないか

と考え始めました。

それでブログを始めました。

自分のコミュニケーションの専門知識をシェアして、すこしでも治療中の女性たちに楽になってもらえればと思って。

このつらい不妊治療の経験を活かすことが「人生から期待されていること」であり、「今回の苦悩の意味」だったのではないかなと思っています。

フランクルの本は読むだけで「読書療法」としての効果がある

『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』の諸富さんは、「フランクルの著作は読むだけで治療効果がある」と言っています。

フランクルの言葉には、絶望しかかっている私たちの魂を鼓舞してくれる、不思議な力があります。フランクルの言葉は ー安易なポジティブシンキングー とは違って ー私たちが本当に悩み苦しんでいる時ー そうしたときにだけースーッと心に入ってくる何かがあるのです。(中略)

フランクルは、「人生からの問い」として与えられた困難徹底的に悩み抜き、苦しみ抜いた絶望の果てにこそ、一条の希望の光が届けられてくるとう人生の真実を多くの人に伝えてきました。(P120)

フランクルの言葉に触れるには今がベストタイミングです。

読むだけでも心が軽くなるので、ぜひ読んでみてくださいね。

 

今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。

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2 件のコメント

  • さな吉さんはじめまして。
    私も不妊治療中で苦しい時間を過ごしています。自分の心の変化や葛藤を持て余していましたが、さな吉さんのブログを読んでいるととても勉強になります。
    特にフランクルの言葉を教えて頂いた事は人生のトップに入る程の衝撃だと感じています。思考のクセを変えるのにもとても役立っていると思います。ありがとうございます。
    それと同時にさな吉さんのブログを読むだけでも心の癒しになっています。
    夫に対して、治療の大変さや気持ちの伝え方が分からない時も「旦那さん必見」の記事を読んでもらった所、夫もよく理解してくれて「大変だったんだね」と抱きしめてくれました。
    これからも治療は続きますが、ネガティブになりすぎず、コツコツやって行きたいと思います。
    本当に本当にありがとうございます。

    • みずかさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます。

      お返事遅くなってごめんなさい。
      コメントに気づかなくて、見つけたときは真っ青になりました

      いま治療中で苦しい時間を過ごしていらっしゃるんですね。
      不妊治療はこれまで経験したことのないようなつらさがありますよね。
      葛藤やつらい気持ちをもてあます感じ、とてもよくわかります。
      私のブログが少しでもお役に立てたようで、やってて良かったと思いました。
      伝えてくださってありがとうございます

      フランクルの言葉、いいですよね。
      私も衝撃受けました。そして自分も、苦境にいても尚、優しさを発揮できる人でありたいと思ったし、自分が人生から問われている意味を考えるようになりました。
      それでも人生にYESと言う、なんてホント衝撃過ぎて、なかなかYESと思えない自分とのギャップに何度泣いたことか(笑)
      それだけあの言葉にはパワーがありますよね。

      みずかさんの旦那さん、優しい方ですね。
      旦那さんにも読んでもらって書いた甲斐がありました。

      これからも旦那さんと力を合わせて歩んでいってくださいね。
      影ながら応援しています!
      さな吉

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