自分の体をいつくしむ②思考のクセ編:不妊治療がうまくいかないとき、不用意に傷つかないために

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今日も読んでくださってありがとうございます。

今日はもう少し具体的に、心理学的な側面から、負のサイクルにはまりがちな自分の思考のクセに気づくための方法を書いてみたいと思います。

事前にこちらもチェック

自分の体をいつくしむ①からだ編:不妊治療のつらいところは何度も何度も体に×(バッテン)がつくこと

様々な結果に対し不用意に傷つかないためには

前回の記事では、

慣れ親しんだ考え方を脇に置いて、

自分で考え、自分で自分をどうとらえるのか選ぶことができる、

という点がポイントでした。

「慣れ親しんだ考え方」とは思考のクセとも言えます。

そこで登場するのは心理学の「認知行動療法」です。

認知行動療法とは、認知のかたよりを修正し、心のストレスを減らしていくための精神療法です。

認知とは「思考」のことで、何かの出来事があったときに、パッと瞬間的に浮かぶ考えやイメージのことです。

私たちはつらい状況や困難な場面に遭遇してネガティブな感情が生まれると思いがちですが、認知行動療法では私たちの頭の中に浮かぶ思考によって感情が作り出される、と考えます。

ということは、不妊治療でもたらされる傷つき感は、出来事(様々な治療の結果)だけが原因ではなくて、私たちの思考のクセも一枚噛んでいるということです。

感情が生まれる流れ

出来事
 ↓
^^^^^^^^^^^
思 考(認知)
^^^^^^^^^^^
 ↓
感 情
 ↓
行 動

出来事からすぐに感情が生まれるのではなく、思考というフィルターが間に挟まっているわけです。

思考のクセは人によって様々です。同じ事を経験しても人によって感じ方が違うのはそのためです。

つまり、思考のクセ(認知のゆがみ)に気づくことができれば、その結果として抱く感情が大きく変わってくるということです。

ここに、不妊治療で必要以上に傷つかないためのヒントが隠されています。

思考のクセに気づこう

認知行動療法では代表的ないくつかの思考のクセがあるとしていますが、その中でも不妊治療中に陥りがちなものをピックアップしてみます。

出来事
 ↓
^^^^^^^^^^^
思 考 ⇐ここに自分を追い込むクセがある
^^^^^^^^^^^
 ↓
感 情
 ↓
行 動

自分に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

▼全か無か思考

ものごとを白か黒で考えてしまう。少しでもミスがあれば、完全な失敗と考えてしまう。

例)「体温が上がらない。もうダメだ」「着床しなかった。私は“いつも”うまくいかない」と極端に考える

▼一般化のしすぎ

一つの悪い出来事から、広範囲のことを決めつけてしまう

例)ひとつ数値が悪かっただけなのに「やっぱり私はダメなんだ。この先もずっと妊娠なんかできるはずがない」と考える

▼マイナス思考

一つのよくないことにこだわって良いことを遮断してしまう。

例)自分を大切にしてくれる家族がいることに目が向かない。

またよい兆しがあっても「まぐれにすぎない」「うまくいくわけがない」と考える

▼結論の飛躍

悲観的・否定的に将来を決めつけてしまう極端に悪い方向へ考えてしまう。

例)成果がでないと「このまま私は妊娠できない」「子どものいない人生を送るんだ」と決めつける

▼過大評価と過小評価

マイナス点や失敗を大げさに考え、逆に長所や成功したことを極端に小さく考える

例)1回薬を飲むのを忘れたら「これですべて台無しだ」と考える

自分の頑張っている点を評価せずに「努力が足りない」「わたしなんてダメだ」と考える

▼レッテル貼り

間違った認知をもとに完全にネガティブな自己イメージを作り出してしまう

例)単に「妊娠しない」ではなく「私は人生の落伍者だ」「生きる価値がない」「女性として終わった」と決めつける

いかがでしたか?

自分に当てはまるクセはありましたか?

実際の場面ではいくつか混ざった状態で現れることもありますが、自分のクセを把握していると、そのクセに巻き込まれて必要以上につらくなることを防ぐことができます。

私の場合

私の場合は早期閉経で卵がまったく育たなかったので、毎回の血液検査で自分のだめっぷりが数字で提示されるのには相当参りました。

ありとあらゆることをやって、次こそはと思いクリニックにいくのですが、結果はふるわず・・・。

頭の中にはありとあらゆる「レッテル貼り」が渦巻き、妊娠できない自分、子どものいない自分を「人生の落伍者」で「価値のない人間」のように感じていました。

また、毎月高額のカード払いに感覚が麻痺し、もうどうにでもなれと半ばやけくそになって毎日自己注射をしていました。

もともと自然派だったはずなのに、もはやあまり体のことは考えず、ガンガンに高刺激を続けていました。

やけくそになったあたりから自分の体をあまり大事にしなくなりました。

レッテル張りとマイナス思考を繰り返す

一時期は自分の体に失望感しかありませんでした。

「レッテル貼り」はやむことがなく、いつも自分の体をメンテしてもメンテしても状態がよくならない欠陥品のように感じていました。

常に考え方は「マイナス思考」へ・・・。

基本的にとても優しい夫に対しても、時には感情的に爆発して涙を見せたり、また時にはたちの悪いチンピラみたいに絡んだりしていました。

自分が「妊娠できないでいること」以外は、とても幸せだということに気づけなかったのです。

まわりがすべて自分を否定する要素へつながる

またこの頃は一番、妊婦さんや赤ちゃん連れを見るのがつらかった時期でもあります。

耳に入ってくる子ども関連の話題も、すべて自分のゆがんだ認知へとつながり、自分を心の狭い、ちっぽけな人間のように感じさせました。

真っ暗な湖の底に沈んだようなこの期間はほんとうにつらかったです。

私にとっての暗黒の時代です。

ゆっくりとアサーティブの心がよみがえってくる

一方でこの時期、モノのように扱っていながら、心と体が切り離されていくような感覚がいつもあって、

私、これが本当にしたいことなのかな、

私は納得してこの治療を選んでるかな、

と問いかける自分がいました。

そして、徐々に、徐々に、ほんとうにゆっくりとしたペースですが、私の中で眠っていたアサーティブの心が顔を出してきて

待って、本当にあなたはダメな人間なの?

治療を続けながらも、自分を大切にすることはできないの?

小さな声で耳打ちしてくれました。

いわばアサーティブの考え方は新しい認知の仕方とも言えます。

私はこれに本当に救われました。

アサーティブを知らなかったら、きっと今でも子どものいない自分に自信が持てず、常に劣等感を抱きながら生きていたと思います。

私たち治療中の女性を支えてくれるもの

少しアサーティブをどこかで聞いた事のある人は「アサーティブは自己主張のスキルでしょ?」と思っているかもしれません。

※組織内研修などで短時間でおこなわれるアサーティブ研修は時間の関係上「伝え方のスキル」に軸足が置かれていることが多いです

しかしアサーティブを学ぶことによる最大の恩恵は、アサーティブ的な認知の仕方を手に入れて「内面での自己との対話ができるようになる」という点にあります。

この内面での自己との対話が、自己信頼を育むことにつながり、さまざまな局面において私たちの人生を支えてくれるのです。

だからこそ私は、この不妊治療という、社会的問題と個人的問題が複雑にからまりあったライフイベントにおいて、アサーティブは重要な役割を果たすと考えています。

治療中の女性が自分に誇りを持って、自分を含めた誰のことをも責めずに他者と対話ができたとき、妊娠するか・しないか、子どもがいるか・いないか、といった従来の価値観を大きく越えて、人として輝くのではないかと思っています。

すいません、今日は最後の方、かなり熱くなってしまいました😅

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