なぜ不妊治療中にコミュニケーションが大事なのか

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こんにちは。さな吉です。40歳から不妊治療に取り組み始め、現在40代後半です。数年前からローズレディースクリニックに通っており、最近は治療はひと段落し体のコンディションを診るためだけにローズでお世話になっています。

AMH0.16以下、E2ゼロ、FSH100以上、抗核抗体640倍、早期閉経。
14年間、研修の講師をしていました。専門分野はコミュニケーションです。

今年は治療も一段落したので、この機会に自分の専門性を活かして「夫婦はもっと助け合える!〜心が通じる不妊治療中のコミュニケーション〜」というテーマで記事をアップしていこうと思います。

 

不妊治療中の夫への不満

とかく、治療には夫との喧嘩や気持ちのわだかまりがつきものです。

不妊治療をしている人なら誰でも「言いたいことがうまく言葉にならない」という経験をしていると思います。
話し始めると感情的になってしまい、気がつけば喧嘩に・・・。そのうち「どうせ言ってもわかってくれない」と諦めモードになり、話し合うことすらやめてしまいます。

「私はこんなにがんばっているのに協力してくれない」
「私のつらさを理解してくれない」
「もっと治療の話をしたいのに聞いてくれない」

本当は万全の体制で治療を進めたいのでストレスは避けたいところだけど、一番近くの人がストレスの根源、ということはよくあることです。

 

問題の先送りは修復困難な案件になりがち

不妊治療は授かることがゴールになりがちですが、授かった後は子育てが待っています。

「子どもができれば夫は変わるだろう」
「子どもができれば義両親とのつき合いもラクになるだろう」

いろいろな不満にこの「子どもができれば・・・」という枕詞をつけて問題を先送りにしたことは、誰でも一度はあるでしょう。

しかし、問題解決のためのコミュニケーションを避けていると、気がついたときには深刻な問題になってしまいます。こじれた関係を解きほぐすためには大変長い時間が必要になってしまいます。

 

子どもができたら夫は変わるか?

子どもができたからパッと夫が変わって「なんでも話し合える・協力し合える」という関係にはなるでしょうか。

たしかにいろいろと手伝ってくれるでしょう。
苦労して授かった子ですから、目に入れても痛くないほど思いっきり愛してくれる子煩悩のお父さんになるでしょう。

それでも圧倒的な子育ての負担は女性の側にかかってきます。

これは不妊治療中も同じです。
女性は子どもを授かりたい一心で多くの犠牲をはらって取り組んでいます。
時間や仕事はもちろんですが、精神的にすり減るような、心にぐさっとくる出来事もたくさんあります。

そこで、本来味方であるはずの夫があまり助けにならなかったら?
日々ストレスを溜めるあなたに対しねぎらいや感謝の言葉がなかったら?

きっと孤独感の中で不妊治療をし、子どもができればイライラしながら子育てをし、思うように動いてくれない夫に対してキレるかあきらめるかして、対等なパートナーとしての会話はますます減っていくでしょう。

 

夫婦間のすれ違いは永遠のテーマ

私は仕事柄、企業や病院などさまざまな場所でコミュニケーションの研修をしてきました。

多くは組織内で働く人を対象としていましたが、ときには公民館で子育て中のお母さん対象に「ストレスをためないママ講座」なども担当しました。

子育て中にまわりを巻き込みながら協力を得ていくためにはどうしたらいいのか、ということを『コミュニケーション』を切り口にして学ぶもので、大変人気の講座でした。

不妊治療を経験していないお母さんも、不妊治療をして念願の子どもを授かったお母さんも、共通している悩みは

「夫にもっと子育てを手伝ってほしい」
「私の気持ちをわかってほしい」です。

一方、パパ講座でコミュニケーションをお伝えすると、みなさん一様に

「手伝っているのに怒られる」
「話をきいているのにまだ足りないようだ」とおっしゃいます。

テーマは違えど、これと同じような状況が不妊治療中のカップルにも起きています。(ちなみにシニア講座でも同じです)

さまざまなライフステージの中で、なぜこのようなすれ違いが続くのでしょうか。

 

伝わるように話してますか?

妻側には言いたいことがたくさんあります。

妻なりに努力をして、言いたいことをぶつけてみたり、態度で表したりしているかもしれません。

がんばって表現してみて、一旦は状況は良くなるかもしれませんが、気がつけばいつの間にかまた元通り・・・。

この原因は、伝え手側が「伝わるように話していない」ということが考えられます。

ついつい理解しない相手が悪いと思いがちですが、実は伝えたい内容の中身がきちんと届いていないのです。

思いを言葉にして相手に届ける方法を、私たちは体系立てて学んだことがありません。

コミュニケーションはわざわざ学ぶものではなくて、経験を通じて蓄積されるものと考えられているからです。

 

コミュニケーションにもクセがある

コミュニケーションは学校の授業では学ばないので、多くは身近な大人から学んできました。

おもに親から学んできたわけですが、決してそれがベストな対応でなくても、それ以外の方法を知らないので「こうするものなんだ」と自分のやり方として取り入れていきます。

相手に対するコミュニケーションのパターンはおおよそ次の3つに集約されます。

・攻撃的(感情的になる・キレる)
・受身的(飲み込む・我慢する)
・作為的(態度で表す・イヤミを言う)

これらはなじみ深いパターンで、体に染みついたものです。

この3つでやりくりするには無理があるので、新しい方法が必要になります。
それが攻撃的でも受身的でも作為的でもない新しい手法「自分も相手も大切にしたアサーティブ・コミュニケーション」です。

 

親のやり方を引き継いでいく

振り返ってみると私の場合は、おもに父が攻撃的、母が受け身的、おばあちゃんが作為的だったかなと思います。

母は父と喧嘩になると貝のように黙ってしまい、一言も口をききませんでした。
そんな母を父は責め続け、母は黙り続ける・・・、子どもとしても見ているだけで辛い冷戦状態が続きました。

子どもながらに「なんでお母さんは何にも言わないんだろう」と思っていましたが、少し大人になってきていざ自分が意見を言う場面になるとなんと言っていいかわからなくて結局黙ることになりました。
「父には何を言っても無駄」と何かを言う前にあきらめてしまうのです。

おばあちゃんは嫌なことがあると仏壇のお鈴(鐘)をものすごい大きな音で鳴らしました(笑)
障子越しにチーン!チーン!といつもより大きな音が聞こえると、私たちきょうだいは「ああ、おばあちゃんは今日は期限が悪いんだね」と目配せしました。

我が家では、自分の思いをきちんと言葉にして伝えるという習慣がなく、相手を攻撃せずに建設的に話し合うというシーンを見たことがなかったのです。

見たことがないもの、学んだことがないものはできなくて当然です。

ということは裏を返せば学べばできるようになるということです。
性格だから変えられないと諦めるのではなくて、知って学んで練習すれば必ずできるようになります。
そこにはぜひ希望をもってほしいなと思います。

 

新しいコミュニケーション法

私は25歳の時に、自分も相手も大切にしたコミュニケーション「アサーティブ」を学んで、初めて自分の思いを言葉にする方法を知りました。
それから20年以上、相手を変えることではなく、自分に真摯に向き合って「本当に自分は何を求めているのか」をくり返しくり返し自分の胸の内に問いかけてきました。

この考え方とコミュニケーションのスキルは、これまでの家族の依存症問題や親の介護問題などで大変役に立ちましたが、不妊治療中には何度も私を助けてくれました。

夫との会話ももちろんですが、職場やクリニック、義理の親や自分の家族との関わりにも大変役に立ちました。

そして何よりも自分を大切にして常に「自分の行く道」を決められたことが大きかったと思います。

アサーティブとは

アサーティブでは自分のことも相手のことも大事にします。

自分の意見も言いますが、決して一方的ではなく、相手の意見にもきちんと耳を傾けます。

意見の相違があったとしても、それを悪いことだとは思いません。

話し合うことによって合意点を探ることができるとわかっているので、問題解決の方法として対話を選ぶことができます。

自分のことも含め誰のことも責めずに話すので、相手は「攻撃された」と身構える必要がありません。

自分の気持ちに正直であり、それを言葉にして相手に伝えることができます。

そして自分の感情と行動に責任を持っています。

自分の短所も長所も認めた上で、自分自身を肯定的に受け入れています。

そのため、相手のことも受け止めることができます。

人生の中では、間違えることもあるし、失敗することもある、と思っています。

そして、そうしたうまくいかない時期も、自分がベストを尽くしてきたことを知っています。

立場の違い、価値観の違いを越えて、対等に向き合おうとします。

これがアサーティブコミュニケーションです。

 

 

不妊治療中には必須のスキル

不妊治療は深い霧の中を手探りで進むような、先の見えない辛さがあります。

採卵できなかったときや移植がうまくいかなかったとき、また思いもよらない流産など、常に「この先どうするのか」を突きつけられます。

私自身の治療のハイライトは採卵でしたが、お金の問題、自分の体の問題、仕事の問題、いつまで治療するかなど、いつも考えなければいけないことがたくさんありました。(採卵は1つ取れただけでしかもすぐダメになってしまいました)

しかし、アサーティブの考え方を知っていたおかげで自分を責めずに、そして一番近くにいるパートナーを責めずに、お互いがどうしたいのかを話し合えたのは大きな収穫でした。

子どもにまつわる話し合いで、ときにはお互い感情的になることもありましたが、根底には「価値観は違えども対話は可能」と信じていたので、諦めずに勇気を持って向き合うことができました。

いまでもちょっとややこしい問題でも「ああ、こうやって相手を責めないで話し合うことが可能なんだな」と感動することがあります。

意見が違うとしても、対立ではなく、対話によってお互いを理解することができる。

この考え方が治療を終えたいまでも私の支えになっています。

 

まとめ

・思いを言葉にすることができるようになるのでストレスが減る
・夫婦で話し合いができるようになる
・子どもに対してコミュニケーションの良いモデルとなれる

新しいコミュニケーション方法を学ぶことは、現在の夫婦関係にも役に立ちますが、子どもたちの未来にも役に立ちます。

さきほど「コミュニケーションは身近な大人から学ぶ」と書きました。
ということはあなたの子どもも、あなたと夫からコミュニケーションを学んでいくことになります。

現在の夫婦関係のためにも、そして未来の家族関係のためにも、今のうちに心の通い合うパートナーシップに変えていけたらいいですよね。
せっかく新しい命を迎え入れようと頑張っているのですから。

 

終わりに

アサーティブには、紆余曲折しながらも、迷いながらも、そんな自分をOKと思えるための考え方とスキルがたくさんつまっています。
不妊治療中の女性に必要なのは、どんな自分でもOKと思える自己信頼感と、大事な人と話し合いをしていく「話す力」です。
通して読んで頂ければ、一通り新しいコミュニケーションについて学べるように組み立てていきますので、どうぞご期待ください。

 

それでは今後ともよろしくお願いいたします。

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