【さな吉エッセイ】優しさは人に伝染する

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クリニックの帰りに最寄りの路線に乗り換えたら、近所のお友だちにばったり会った。

その子は知的障害のある女の子。

といってもたぶん年齢は私とそう変わらないと思う。

よくバスで一緒になって、おしゃべりするうちに仲良くなった。

 

 

電車で会うのは初めてで「あ!あの子だ」と嬉しくなった。

でもよくみたらすごく悲しそうな顔をしてる。

「○○ちゃん」と声をかけたら、ポールを握りしめていた手をぱっと離して「お姉ちゃん」と半べそをかきながら私の腰に抱きついてきた。

「どうしたの?」と聞いたら「注射痛かった・・・」と教えてくれた。

「そっか、注射、痛かったのか・・・」と答えて、しばし二人で抱き合っていたら、

彼女が顔を上げて「お姉ちゃんは?」と聞いてきた。

「今日はね、お姉ちゃんはお医者さんに行ってきたの。お姉ちゃんも注射したよ」と答えながらクリニックで採血した腕を見せた。

そうしたら「痛かった?」と心配そうに聞いてきた。

「うん、今日はチクンって痛かった」と答えたら、

すかさず「泣いた?」と彼女。

「ちょっと泣きそうになったけど我慢したよ」と笑顔で答えたら、

彼女もなんだか嬉しそうに「へへへ」と笑った。

 

 

それから、一緒にバスに乗り換えた。

二人がけの座席に並んで座ったら、「夜ご飯は餃子。ふふふ」と教えてくれた。

彼女との会話は短くて、だいたい二往復くらいで終わる。

「餃子いいな〜。楽しみだね」

「うん。お姉ちゃんは?」

「お姉ちゃんちはまだ決まってないの。帰ったら考える」

「ふうん」

そのあと何回か餃子と注射の話題をくり返して、その日はバイバイした。

 

 

彼女と話すとあの真っ直ぐさに心が温かくなる。

だから、私はバスに乗ると彼女の姿を探してしまうし、

家の前を通るときは二階の窓を見上げてしまう。

 

いつだったか、私がランニングで彼女の家の前を通ったとき、二階の窓から彼女が顔を出していた。

パチッと目が合った瞬間、彼女が「お姉ちゃん!」と叫んだ。

私も「○○ちゃん!」と叫んでブンブンと手を振った。

一瞬の出来事だったけど、そのあとのランニングはずっと心がぽかぽかしていた。

 

 

 

世の中、どれだけ多く話すかといった時間の奪い合いみたいな会話が多いけど、彼女との会話はその対極にあるような気がする。

本当に短い会話だけど、必ず私のことも聞いてくれる。

 

私の手にあかぎれがあったら

「痛い?」

 

私の腕があせもになってたら

「大丈夫?」

 

私の荷物が少ないと

「お弁当ないの?」

 

大人になってから、こんなにストレートに心配されたのは初めての経験だった。

自分が子どもだった頃は「人からどう思われるだろう」なんて気にせずに、垣根を作らずに人に近寄っていったものだ。

大人になるにつれ、いつの間にかだいぶ臆病になってしまった。

 

子ども時代に思いを馳せつつも、自分に子どもがいたらこうした「人の純粋さを発見する瞬間」って日常なんだろうな、とも思う。

そっちに思考がいくとちょっと寂しくなるけど、彼女が「とっておき」を私に味あわせてくれたから、それで良しとして今のしあわせを噛みしめる。

 

 

彼女に会った日は「ああ、もうちょっと私も人と丁寧に接しないとな」と思う。

それで家に帰ってから「あの子に会ったよー」と夫に話しをした。

夫はこの年齢で『お姉ちゃん』と呼ばれる私が羨ましいらしく、「お姉ちゃんじゃないのにね」と皮肉を言ってきた。

でも、彼女にもらったぽかぽかが心の中にあるから、笑いながら「なんだとー」と返すことができた。

人からもらった優しさをまた別の人に分けるとき、自分も嬉しくなる。

こうやって優しさって人に伝染していくんだなと思った秋の一日だった。

 

 


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